精油の使い方

 

精油(エッセンシャルオイル)は、植物の芳香成分を濃縮した天然の液体で、数千年にわたり人々の暮らしに寄り添ってきました。香りを楽しむだけでなく、医療や美容、宗教儀式など、さまざまな用途で活用されてきた歴史があります。

近代の西洋医学の発展により、現在では医療分野で精油を使用する国は減少しましたが、ストレス社会の到来により、「病気とは言えないが健康とはいえない状態」にある人が増えた現代において、自然治癒力を高める手段としてアロマセラピーへの関心が再び高まっています

多くの方は「アロマセラピー=香りでリラックス」といったイメージをお持ちかもしれません。確かに、良い香りを嗅ぐことでリラックスするというのは、アロマセラピーの大切な作用のひとつです。香りの情報は鼻を通じて脳の「大脳辺縁系」に伝わり、記憶や感情に働きかけます。

しかし、精油の働きはそれだけにとどまりません。大脳辺縁系は内分泌系や免疫系とも深く関係しており、香りを通じて心身のバランスを整える効果も期待できます。また、吸い込まれた芳香成分は肺から血流に入り、全身を巡ります。さらに、マッサージや湿布などによって皮膚から吸収されることで、精油成分は体内の器官や組織に直接働きかけることもあります。

このように、アロマセラピーは単なるリラクゼーションだけでなく、身体にも働きかける力を持つ自然療法です。そのため、精油の選び方や使用方法には十分な注意が必要です。

ご使用にあたっては、専門家のアドバイスを受ける、あるいは信頼できる文献などを参考にし、安全にご使用いただくことを強くおすすめいたします。特に、小さなお子様、妊娠中の方、持病をお持ちの方は慎重な判断が必要ですので、必ず事前に専門家にご相談ください。

 

ご使用例

精油はさまざまな方法でご使用いただけます。以下は一般的な使用方法と希釈の目安です。安全にご使用いただくために、必ず使用前にご確認ください。

 

入浴

浴槽にお湯をはり、精油を5〜6滴加え、よくかき混ぜてからゆっくりとご入浴ください。心身のリラックスにおすすめです。

ボディマッサージ

お好みのキャリアオイルに、2.5%以下の濃度になるよう精油を希釈してご使用ください。全身のケアに適しています。
使用例: キャリアオイル30mlに対して、精油は15滴以内が目安です。

フェイス

マッサージ

お顔への使用はより低濃度でのご使用をおすすめします。1%以下の濃度で希釈してください。
使用例: キャリアオイル10mlに対して、精油は2滴以内が目安です。

湿布

100ml程度のお湯または水に精油を10滴以内加え、タオルを浸してよく絞り、患部にあててください。温湿布・冷湿布として活用できます。

吸入

ティッシュに精油を数滴垂らし、香りをゆっくり吸い込みます

または

熱いお湯を入れた洗面器に精油を数滴垂らし、頭からタオルをかぶって目を閉じて蒸気をゆっくり吸い込みます。

エアースプレー

スプレー容器に水200mlと精油20滴を入れ、よく振ってからご使用ください。お部屋の香りづけや空気のリフレッシュに適しています。

拡散(ディフューザー)

アロマランプやディフューザーを使って香りを広げると、簡単に空間をアロマで満たすことができます。
器具がない場合は、熱湯を入れたコップに精油を数滴垂らし、室内に置いておくだけでも手軽に楽しめます。

 

ご使用時の注意事項

  • 上記の希釈率は成人の使用を想定しています。

  • 必ず規定の濃度以下に希釈し、使用前に腕の内側などでパッチテストを行ってください。

  • 精油を飲んだり、目に入れたりしないでください。

  • 小さなお子様の手の届かない場所に保管してください。

  • 冷暗所(15℃以下)での保管をおすすめします。